第21章 お家と飲み会
「自来也さまって、一見遊んでるように見えるけど、アレは偵察だよ。オレらが見落としてる場所も、足を運んで探してくれてんのよ」
寒空の下。カカシと並んで夜道を歩いた。ひんやり冷たい風が吹く。もう夜中だから静かだ。
「そうなんだ。やっぱり…さすがだね」
いつも自来也さまは茶化すから、変な方向に話は進む。けれど、本当は凄く真面目なお方だ。そういう所を私は常々尊敬している。
「お前こそ、飲み過ぎでしょ」
カカシは、ふらつく様子を見て私の手を握った。確かに足や腰に力が入らない。
「そう、だけど…、カカシも同じじゃない」
カカシの足も、もつれる。
酔っ払いのふたりだ。
「まーね。やっぱ自来也さまに勝てないね。お酒強すぎでしょ。顔が真っ赤なのに、ぜーんぜん変わらないし」
カカシは小さく欠伸をした。
眠そう。
「今日はいっぱい飲んだね。テンゾウがね、カカシは酔いすぎたら大変だって言ってたよ?」
「うーん。確かになー、帰ったら倒れちゃうパターンかもねー……」とカカシ。
「ま、たまにはいいでしょ。暗部が羽目を外しても」
「そうだね」
と私は夜空を見上げた。
今夜は少し満月が欠けている。
星はあまり見えない。
一番星だけ瞬いてる。
ぼんやり黄金に輝く丸い月。
薄い雲に隠れて輪郭はおぼろげ。
冷たい風がふき、真夜中に枯れ葉が落ちる。歩くたびに乾いた音がした。スカートがひらひら揺れる。一般の人ってなんて動きにくい格好してるんだろう。ヒールも歩きにくいし。
「花奏」
カカシが息を吸い大きく吐いた。
握る手が固く変わる。
「ん?なにカカシ?」
呼ばれたから、
となりを見たのに、私を見てない。
顔を上げて夜空の月を見てる。カカシは息をもう一度深呼吸してる。反対側の手で頭をかいた。
「今すぐ、じゃなくていいから」
一度まぶたを閉じて、もう一度開けた瞳は
私を捉えて、そのまま離さない。
「オレは、いつでも良いと思ってるから」
核心を言わないカカシ。
頭の中に大量のハテナマークが浮かんだ。
なんの話?
「ど、どうしたの?急にかしこまって。カカシ変だよ?」
心が騒めく。
なにを言い出すのかと不安が増すのだ。
動揺する私に「あのな」と
繋いだ。