第21章 お家と飲み会
「ーーで、今日は結局いたか?」
媚薬の事件を密かに探っていたのを
ご存知らしい。
「いえ。い班や上忍に、夜街で見張りを頼んでおりましたが、今夜は異変を感じたのか、現れませんでしたね。自来也さまの気配を感じたのかもしれません」
真剣な話なのに
見た目はフラフラの酔っ払い。
酒臭い空気だ。
「自来也さま、売人はもしかしたら一般民ではなく、忍なのかもしれませんね」
「……温泉街でも、媚薬に侵された人間が出ててのぉ。もとを断たにゃあイタチごっこ。今週中には捕まえろ」
「ハイ」
「はい」と続けて返事をしたが、
私もいつもより飲んだ量が多い。
頭がふわふわで心地よかった。
目を瞑れば寝れそうだ。
自来也さまは、最後の清酒を飲み終えて立ち上がる。
「カカシよ、もう帰ってよいぞ。楽しい店には、ワシ1人で行ってくるでのォ」
自来也さまは、伝票を掴んでくるりと千鳥足で歩く。
「じゃぁーのぉー」
と背中で手を振った。
「ハイ。自来也さま、本ありがとうございます。家宝にします」
カカシは怪しげな本を持つ。自来也さまの小説本らしい。
集英堂出版
【イチャイチャパラダイス中巻】
……?
上巻はすでに持っているのだろうか。
オレンジカバーの背表紙には
赤い丸に斜めの線が走る。
「18禁じゃない」
「ん?ああ、面白いよ。読んでみる?ま、お前には早いかな。真っ赤になっちゃうかも」
なんてカカシは笑った。