第21章 お家と飲み会
「……後悔先に立たず…。ワシは今回のやり方は悪手だったと思うがのォ」
「自来也」
突如、冷たい空気が走る。
三代目は熱燗の器を静かに見つめたまま。小刻みに透明な酒が揺れた。
「イヤ、すまんすまん…これは禁句だったのォ…」
自来也さまは長いため息を吐き出し、
罰が悪そうに頭をかいた。
「イヤ、自来也、お前の言う通りじゃ。力不足。すべてワシの責任じゃ」
三代目は静かに言った。
「猿飛さま、しかし、今回は、たまたま事件が重なっただけで、決して猿飛さまの責任では…」
私は思わず口を挟んでしまう。
イタチの事件。媚薬の事件。
重なっただけだ。
三代目は、
ほんのりと、笑ったような顔をした。
「ふむ……。花奏に慰めてもらう日が来るとはのぉ、まったく驚きじゃな」
「あ、ひどい」と
私は笑い、三代目に焼けた肉を渡した。
「花奏、明日の話だが、お前も通夜に出席するように。これは…サスケからの要望じゃ」
猿飛さまは、肉を口にして、
優しく目尻にシワを作った。
「わ、私がですか?しかし、任務が…」
「いや、そっちを優先させて。こっちはオレらでやるよ。な、テンゾウ」
「え、ああ、ハイ!」と突然振られて、
顔を振り向かせたテンゾウは、
肉を頬張る。
「明日も見れるなんて最高ですーー。カカシ先輩の変装姿、凄く素敵ですよ♡」とテンゾウの隣からボタンが覗いた。
「…そりゃ、どーも。ホラ、滅多に来れないんだから、たらふく食べなさいよ」
「「はーい!」」
元気な返事だった。
苦笑いで
カカシは上体をもとに戻す。
焼けた肉を取り、口に放り込んだ。
「ま、サスケは花奏しか今、頼れるヤツはいないからな、助けてやって」
私の肩をたたくカカシは
優し気な瞳だった。
「うん、わかった」
カカシは自分とサスケ君を
重ねているのかもしれない。
7歳の境遇が似ている。
「ま、オレのときは、花奏がいてくれたからね。助かったよ」
私の頭の中を読んだみたいに
目を細めた。