第21章 お家と飲み会
一歩、
畳の部屋に
入ったときだ。
「遅いぞ。ーーったく、待たせよって」
聞き間違いではない。てか気配を消す意味が分からない。
明るく笑うハスキーボイスが
突然上座から聞こえた。
「ったく、暗部も良いご身分だのぉ。ワシを待たすとは」
大きな目が合う。目下からあごにかけて、深い紅のペイントが施される。そして長い白髪。思わずギョッとして、一歩後ろに下がった。
「長期の取材、ご苦労様です」
ろ班隊長カカシはすでに捕まる。諦めたように真正面に腰を下ろした。三代目もお隣にいらっしゃる。キセルから煙が上がる。
ひい。…南無。
「お、お久しぶりで、ございます…」
私は愛想笑いを浮かべ、上座に進んでご挨拶した。
あぐらをかいて酒を飲まれている。大きな額当てには「油」文字が刻印される。ニヤリと口を笑わせ、私を足先から頭の天辺まで見た。
「おぬし、可愛い格好をしとるが、顔や手を怪我をしておるのぉ。どれ、ワシが全身を見てやろう」
目が変態だ。顎に手を置いて、
まだ見ておられる。
「ひぃっ、け、結構です!ご、ご冗談を」
あははははー。
なんて笑ったけれども。
でた。
セクハラ。
顔は引きつる。
すでに酒が入り、ほろ酔いだ。
大変危険だ。
セクハラ塗れに遭う。
「んーー?花奏、どこへ行く。お前の席は、ここだ、カカシの隣だろう。こっちへ来い」
こっそり女子組の席へ行こうとした
私の足を引き止めた。
く、くそう…。
3回目…略。
ため息は長かった。
覚悟を決めてカカシの隣へ座る。
「おじゃまします」
「最初から素直に座らんかい、まったく」
「す、すみません」
横目でカカシと目が合う。
"ガンバレ"と口布の上から
小さく口が動いた。
む、むり。
前には三代目。斜めには伝説の三忍。
オーラが半端ない。
この飲み会、終わった。
「お久しぶりでございます…。自来也様。長旅ご苦労様です」
私は気合いを入れる。
空になったお酒を
緊張しながら注いだ。