第20章 ひとり。
火影室を出た私とカカシは
オムライス専門店に来ている。
暗部の服だけど気にしない。
店内は可愛い装飾だ。大きなクリスマスツリーや、テーブルにはサンタやトナカイの小さな小物。
赤と白のチェックの
テーブルクロス。
猫のクッション。
「とっても可愛いよねー。このお店さ、先週オープンしたところだって」
「へーー……」
ニコニコな満面の笑で座る私と、ジトーっと薄目のカカシ。なんと対照的だ。
目の前で
頬杖ついて足組みしてる。
店内見ないで窓ばっか見てるし。
「花奏」
「ん?カカシ、なぁに?」
返事が撫で声だ。カカシが居心地悪そうにソワソワしている。
「なんでこんな店を選ぶの。オレこんな店来たことないよ。見なよ、場違いでしょ。ラーメン屋行こうよ一楽」
「えーーやだーー。もう座っちゃったし。いま無性に、ここのオムライスが食べたいの。ほらレディスセットを見て。ケーキも出るし、サラダもある。ドリンクも出る素晴らしいメニューなの。とっても美味しいんだよ?」
目をキラキラ輝かせて、メニューをカカシに見せて熱弁する私。
ちょうど昼食時間だからと、私が選んだ店は可愛いらしいフェミニンな装飾なお店。お客さんも同い年ぐらいの女の子が多い。
そう。
ぜったいカカシが入らない店。
「…はぁ…オレ罰ゲームみたい」
う……。
そこまで言われると…。
「じゃ、じゃあ……やめる?そんなにイヤならいいよ。一楽行こっか?」
上目遣いで聞いた。目の前には美味しそうなメニューが眩しく輝く。ぜったいここが良い。食べたい食べたい。なんとしても食べたいのだ。
「………わかったよ。わかった。ここでいい。」
カカシが目尻を下げた。ついでに頭もかいた。途端に私の口角が上がる。
「うん、ありがとうカカシー。ふふふ」
私は花が咲くように
明るく笑った。
さすがカカシ。すごく優しい。
「お前いま、ちょろい奴とか思ったでしょ」
え"っ!?
「お、お、お、思ってないよ?ほら、メニューだよ、はーい♡」
「どうも」
乗り気じゃないカカシは
メニューを見た。
「花奏、もう決まってるの?」
「うん。スペシャルレディースセット」
「了解。すみません」
カカシは
近くにいる店員さんを呼んだ。