第20章 ひとり。
「うわ……めっちゃ美味しいよ、これ。ヤバイでしょ」
めっちゃ食べるカカシ。
ガツガツいく。
リスみたいに頬張る。
カカシの選んだモノは、シンプルなケチャップのオムライスの大盛りだ。
「いや油断してたね、マジでウマイね」
カカシが
目をパチクリさせて食べてる。
よほど美味しいらしい。
喜んでくれて私は嬉しい。
「うんうん。そうだね美味しいね」
私も口に運ぶと笑顔になる。
ふわふわの玉子が美味しい。
鶏肉や玉ねぎが甘い。
クリームシチューがかかる、こってりしたオムライス。トマトが入ったサラダにクリームがトッピングされたプリンアラモード。冷たいアイスミルクティー。
「カカシ、そういや今日は休み?」
朝、聞いたとき「忘れた」と言われて、はぐらかされたのだ。結局どっちなんだ。
「ああ、今日は休みだよ。もともと、お前の相手をするつもりだったからね」
「そっか良かった。じゃあ今日はずっといっしょに過ごせるね」
顔を緩めた。身体が戻ってからの休みだ。のんびりお家でゴロゴロもいいな。
ガツガツ食べていたカカシの手が止まる。私の顔を見上げて固まった。
「……花奏……」
「え?私の顔に、なんかついてる?」
口もとを紙ナプキンで拭いた。なんにもついてないし。カカシが反応しない。
「…カカシ?」
つい、私は苦笑いに変わる。
顔を傾けた。なんで固まってるの?
ハッと我に返ったように
カカシの目が広がる。
「あ、ああ…そうだな。いっしょに過ごせるな…。まあ夜は、お前が戻ってきたから、焼肉行こうって話になってるけどね」
急に視線を外して
下を向いて食べるカカシ。
でも、そんなことなど
お構いなしに私は目が光る。
「焼肉!え、え、本当に??良いねー最高だね。楽しみ!カルビ食べたい!」
と喜んでいたのに、
オムライスを運んだスプーンを止めた。
「昨日……うちはの件があったね。行っても大丈夫なのかな。しかもさ、街で媚薬が蔓延し始めてる件もあるし…」
気持ちが沈んでしまう。暗部の飲み会が極端に少ない。理由は、すぐに色々な依頼が飛び込んでくるからだ。落ち着く暇がない。