第20章 ひとり。
「はて、では誘拐犯の言い分を聞こうかの、花奏よ」
冷ややかな声に
だらだら変な汗が流れる。
「ゆ、誘拐犯じゃなくて、ですね。善意でーー…」
「入院患者の未成年を暗部が拉致…しかもパジャマ姿じゃ。いまは冬の季節。お前はいったい、なにを考えておるのじゃ」
はぁぁ……と、3代目はデスクに巻物を書きながら、溜め息をつかれる。呆れた顔だ。
「すみません…つい…サスケくんの勢いに負けまして…。あと、自分が小さなときの記憶がなにか思い出すかと思いまして…」
つらつら言い訳を並べる私は
火影室にいる。
木ノ葉病院に着いた途端、医師や看護師や医療忍が飛んできて、サスケくんの容態を入念に確認していた。
そこでも、大目玉を喰らう。
謝り倒した。
病院中は私たちが戻るまで、サスケくんを探しまくり、大変だったらしい。
「あの、サスケくんが行きたいと言ったので、つい…」
「人のせいにするでない。バカモノ」
短い叱咤が飛ぶ。
二十歳になっても叱られるとは。
いや。何歳になろうとも、
怒られるときは怒られるのだ。
「3代目、オレからも花奏にキツく言っておきます」
助け舟を出してくれたのは
カカシだった。
「それより先ほどの話ですが、根はダンゾウ様の差し金でしょうか」
となりから聞こえる声色は低い。猿飛様の瞳が鋭く変わる。
「たぶんな……ダンゾウじゃろう。十中八九、お前の言う通り、サスケを自分の手元に置きたいのじゃろう。なにを考えておるのか…ワシもわからぬ。だが、ワシはサスケを根などに行かすつもりは断じてない」
3代目は言葉を続ける。
目はなぜか私に向かった。