第20章 ひとり。
たぶん私は
泣きそうな顔してる。
昔を思い出すのだ。
「カカシ……今はないよね?もう誘われたりしてないよね?ダメだよ、ぜったいに」
「なんて顔してんだよ。いまはないよ。あっても断るって」
カカシは、軽く笑うけど、
笑い事じゃない。本気で恐かったんだよ。
12歳のとき。
リンやオビトが亡くなった。
カカシは荒れに荒れる。
だれとも、話をしない。
目も合わさない時期があった。
暗部に入隊して、
さらに4代目が亡くなる。
カカシは、そこから変わる。
どれほど残虐な任務を執行しても、顔色1つ変えない。目が怖くて言い方が恐くて、話しかけれない時期が私にもあった。
そんなとき。
ダンゾウ様がアカデミーの廊下で
カカシに話をかけていた。
「根に入らないか」と話しているのだ。慌てた私は邪魔をする。
用もないのに嘘をついて
カカシから引き離した。
また数ヶ月たつと、勧誘を受ける。私は、そのたびに何か理由をつけて、カカシからダンゾウ様を遠ざけていた。
「じゃあ次は…サスケくんを狙ってるってこと?」
「ま、分からないけどね。だからさっき根の忍に、『上に言っとけ』って忠告したでしょ。3代目はどうかな、知らないかもな」
カカシは
サスケを見下ろす。
「とりあえずお前は病院だろ。帰れ」
「オレは問題ない」
「あのねサスケ。お前が抜け出して、木ノ葉病院は大騒ぎになってんの。大人しく寝とけ」
「オレは…ひとりで帰れる」
「なーに言ってんの。コートの中はパジャマ姿でしょうが。寒いだろ。ほら乗れ」
屈んだカカシに、
小さなサスケくんは戸惑う。
「い、いらねぇよ。歩いて帰る」
「あー、もう早くしなさいよ。荷物みたいに担がれて良いわけ?」
「……ちっ」
舌打ちしたサスケくんは、しぶしぶ背中乗っておんぶされた。小さな子供をおんぶするカカシ。すこし新鮮かも。
「しっかり掴まれよ」
そのまま軽々と
カカシは立ち上がる。
「テンゾウ、じゃー演習の途中だったな。それ続きを終わらせたら、今日は解散でいいよ。コイツは送って行くわ」
「ハイ!」
「あ、私も一緒に行くよ」
と喋ると、
カカシは細い目を向ける。
「当たり前でしょ。勝手に病人を抜け出させたーって、3代目がカンカンなんだからね」
「え…」
私は身体を硬直させた。