第20章 ひとり。
「すぐに…出ていきます」
私はチャクラ刀を背中に戻し、サスケくんの手をひいた。この場を離れようと歩く目の前で、根が立ちはだかる。
「…っ、どいてもらえる?」
獣の面穴から瞳が見える。同じ女なのに
表情はない。凍りついた目が私を見つめる。
「うちはサスケ、お前を取り調べる。イタチの共犯かも知れないからな」
「…っ!? な、7歳が共犯なわけないでしょう?なにを言ってるの?」
「お前も……現場にいたな。いっしょに来い。情報を排除する必要がある」
情報の排除!?
迫る姿に一歩後ろに退いた。
完全に間合いに入る根が刃物を抜く。
「っこ、これ以上近づかないで。仲間でも容赦しないから」
チャクラ刀をもう一度抜いた。10人を相手。しかもサスケくんを庇いながら……完全に不利すぎる。奥歯を噛んだ。
「……やれ」
手を上げる。根が音もなく飛びこんで来たときだった。私が覚悟を決めて刀を振り上げたとき。
術を発動した音がそばで響く。
"土遁・土流壁!!"
土壁が十数メートル高く砂埃を上げながら伸びる。瞬く間に、根の忍と、私とサスケくんのあいだに高い壁ができた。
「……っ!」
根を取り囲む土壁が広がる。根が抜け出そうと試みたとき。高い壁に、トンと軽く足を運んで、てっぺんに座る背中が見えた。
「ったく……帰りが遅いから来てみたら、花奏、お前は暗部でしょ。ま、なんともないな」
「う……、うん。ごめん…」
一瞬こちらを見たカカシは、
根の方に目を向ける。
「おい、根が何の用だ」
銀髪にコート姿のカカシが
根を見下ろす。その瞳は鋭い。
「貴様は……、はたけカカシ……。
お前に関係ない話だ。そこをどけ」
「まー、どいてあげたいのは山々なんだけどさ、仲間に許可なく手を出されちゃ、オレも黙っていないのよ。ましてや花奏じゃー話は別だ」
手を上げて合図をしめす。
「お前ら、覚悟は出来てんだろーな」
とカカシは口端をあげた。