第14章 失ったもの
「お前から、キスしてくれたら解放してあげる。してちょうだいよ」
壁に手をつけられ、逃げれない。口布を下ろしたカカシが、首すじに唇を押し付けてきた。
「こんなところで始められたら、イヤでしょ? ね、早く」
「う…………、したらどいてくれる?」
「うん。良いよ」
あっけらかんと言うカカシの表情は悪い顔だ。面白がっている。
「目、閉じて……屈んで?」
私は顔を見上げ、カカシの頬に触れた。口もとのホクロが可愛い。これは小さな時からある。カカシが顔を近づいてきたから、私は顎を上げ、ふわりと唇を重ねた。
フランクなキス。触れるだけ。
「……これでいい?」
恥ずかしい。どうして暗部の廊下でキスしてるの。見られたらどうするの。頬が熱い。
カカシから
離れようとしたとき。
頭を手のひらで抱えられ、隙間なく激しい口づけが始まってしまった。
「………ん、…!?…カカ、シ、……」
ダメ……ここ暗部の廊下だよ、誰かが来ちゃう。
「煽る方が悪い」
緩ませた口から舌が侵入してくる。腰や背中を触るカカシの息が熱くて荒い。
「ご馳走さま」
堪能したのか、顔を離したカカシは、私を見下ろして口を拭いた。唾液で濡れている。目は面白そうだ。
「……も、もう……バカ……」
カカシは何食わぬ顔で口布をつけて、くるりと背中を見せた。
「なにやってんの? ほら、行くよ」
ポッケに手を入れて
飄々と先を歩いていくカカシ。
私はずっと、
幼馴染の男に振り回されている。
「わ、わかってる……よ、もう……」
足取りが悪い。腰が抜けそう。
カカシの変化に慣れなくて、湯気が出そうだ。