第14章 失ったもの
「カカシ先輩」
テンゾウが言う。
「遺体処理班から連絡がありました。 ヤナギの新たな情報は出てきませんでした。雪ノ里の能力を持つ、木ノ葉の忍。それだけだと報告がありました」
報告書を書き終え、私とカカシの報告書をまとめ、テンゾウは紙の端をトントンと揃えた。
「ま、だろうね。アイツは1人で行動していたよ。 ビンゴブックに載る男も、ヤナギが利用したに過ぎないだろう」
カカシはペンを任服のポケットへ戻した。口調は淡々としていた。
「ただ……」とテンゾウが口を割る。カカシに疑念を抱く顔を向けた。
「いちばん最初、大名護衛で殺された暗部15歳と16歳。 この2名の解剖が、なぜか終わっていません。 ヤナギの解剖の結果は、今朝、暗部へ届きました。 さすがに遅すぎませんか?」
「…………」
私とカカシは返答に詰まった。解剖結果は、通常半日で報告が入る。
一日経過しても、暗部に連絡がない理由は……。
「"なにか"が見つかった。 ーーということだろうね。 ま、ヤナギのアパートと実家に行ってくるわ」
カカシは机に手をついて、椅子から立ち上がった。私とテンゾウも席を立ち、カカシの後に続いて、ドアの方へ歩いた。
「2人のことは、猿飛様へ報告するときに、オレから確認するよ」
カカシはドアを開けて、私達が出るのを待っている。
私とテンゾウは、足早に廊下に出た。
「テンゾウ、報告書を出してくれて悪いね。 頼むな」
カカシはちょっと苦笑いで、
謝るポーズをする。
どの道を転んでも、
猿飛様と顔を合わせれば、こってり叱られるのだ。
あーやだやだ。
雷が来ませんよーに。