第13章 その後
パンを買ってきた。甘い餡子が練り込まれた食パン。試食コーナーに置かれてて、美味しそうで、食べたらやっぱり美味しかった。
カカシは確か甘いものが苦手だ。なのでカレーパンを買ってきた。きっとカカシも喜んでくれるだろう。
軽快にアパートの階段を上って、ドアを開けようとドアノブを掴んだ。
「花奏!!!」
「っ!?」
ドアが勢いよく開いて、
顔面にぶち当たりそうだった。
「あ、あ危ないなあ、もうー……カカシ、びっくりするじゃん。 はい、パン買ってきたよ」
にっこり笑顔でパンの入った茶色の袋を見せた。反対側の手に持つ袋には、ホットコーヒーと、ホットカフェオレが入っている。いっしょに飲もうと思ったのだ。
「……カカシ?」
眉間にシワを寄せて辛そうな顔。カカシは私の背中に手をかけて、身体を胸の中に押しこむ。
胸もとから聞こえるカカシの心音は早い。何も言わず引き寄せられ、私は不思議な顔で彼を見た。
「カカシどうしたの? ごめんね、勝手にコート借りちゃダメだった?」
「……入って」
静かに言われて従った。
どうしたのだろうか。カカシの様子がおかしい。
「貸して」
パンが入った茶色の袋と飲み物が入ったビニール袋をカカシは、掴んで机の上に置いた。
ダメだったのだろうか。もっと喜んでくれると思ったんだけどな。サンダルを脱いで玄関を上がった。
カカシが私の前に立って、ぎゅっと抱きしめる。痛いぐらいの強い力で。
「花奏がいないから……ビックリするでしょ」
「え……、ごめんね? カカシよく寝てたから……」
「次から必ずオレを起こして、いいね?」
「う、うん…、ん……!」
抱きしめた力を緩ませて、カカシは私の顔を見つめ、そのままキスをしてくる。甘く確かめるような口づけに、翻弄されてしまう。
「……頼むから、一言声かけて。ね?」
「う、うん……わかった」
カカシが私の頭を撫でる。
「飯買ってきてくれたんだ。 オレもさすがに腹減ったなあ、って思ってたんだよね、ありがと、花奏」
チュッと頬にキスを落とす。私は先ほどのキスもそうだ。まったく慣れてない。顔がたちまちリンゴみたいに赤くなっていた。