第13章 その後
朝方ふと目が覚めた瞬間、私が感じたこと。
「お、お腹空いた……」ボソっと吐いた独り言。いつ食べたっけ……。む、無理……飢え死にする……。
カカシは、隣でスヤスヤと眠る。呼吸に合わせて胸板が動く。カカシの手は、私の腰に置かれていて、妙に近い。なんだか恋人みたいだ。
私は小さく笑った。暗部ろ班で働いていると、なかなか見れない貴重なカカシの寝顔。気を許してくれているのかな。なんだか嬉しい。
カカシを起こさないよう、そっと手をどかしてベッドから抜け出した。ぐうっと鳴るお腹。
パンが食べたい。カカシのお家へと向かう途中にパン屋さんがあった。
ベッドから抜け出し、カカシのコートを借りた。
スウェットにコート……。うーむ。まずいかなあ……色気がない。掛け時計を見た。朝の7時前。すぐに帰ってくるし、いっか。そう思った私は、自分の財布を持って、玄関で靴を履いた。
「っ!」
げ。ビチャビャ……。どうしよう……あ、カカシのサンダルがある。
私は大きめのサンダルを借りて、壊れたドアを開けて、アパートを出た。
風が強い……!さ。寒い……!!
玄関に置いていた私とカカシの任務靴を、乾かすために外に置いた。カカシのも濡れて今日は履けないだろう。
ただし替えはある。あー羨ましい。私の私物は全部火事で燃え尽きてないのだから。
はあ……と、
大きめのため息が出た。
カカシを起こさないように、そっと閉めた。ガタついている。ドアも修理しなきゃダメみたい。
アパートの階段を降り
私はパン屋に向かった。
行く道で、ヤナギのことを思い出していた。
私は、もういいと伝えた。家は焼け焦げて戻らないし、位牌や思い出のアルバムは、もう戻ってこない。
終わったこと
すべて……もう済んだこと
私は自分に対して、幾度も繰り返し、言い聞かせている。私個人でヤナギを恨む気持ちはない。
ただ、
うまく消化できていないだけ。
ヤナギは、今回の裏切り事件以外では、一度たりともカカシを陥れようとしたことはない。
腹のうちではあったかもしれない。だけど、敵対視した素振りは見せていなかった。
ヤナギは、カカシの腹心としてずっと暗部として働いてきた。多少、言い争いはあったけれど、対立していない。木ノ葉の暗部として、彼はずっと職務を全うしていた。