第12章 闇 終焉の地
「ッ……!!
ゴホッ、ゴホゴホ……!」
カカシが水を吐き出して、苦しそうに咳をする。私はすぐにそばに寄った。
「カカシ!! 大丈夫!?」
私の声にカカシは薄く瞳を開ける。
「…………花奏?」
「……この、大バカ!心配するじゃ……ない……」
私の背後にヤナギは立つ。呼吸が戻った瞬間、カカシから離れて黙って見ていた。
私の声は一気に恐怖で震える。
後ろを振り返った。ヤナギの瞳はカカシを鋭く見つめる。
「ビンゴブックに載ってたあの大男は……、今ごろ暗部の演習場で虫の息だ。 ……カカシ……花奏ちゃんを借りていくぜ?」
私の腕をぐいっと引っ張り、ヤナギは歩き出す。
「っいや、や!」
抵抗して腕を引き離そうとするけど、その力は到底かなわない。
引っ張られてしまう。
「っ!!花奏を……離せっ……ゴホゴホ……!!」
「なんもしねえよ。もう終わりだ。話がしたいんだよ、花奏ちゃんと」
「っ!! ヤナギ……ま、待て!……っ、ゲホッ……ゲホ……」
カカシは叫んだあと、息苦しそうに顔を歪めた。その様子を見て、ヤナギは静かな表情を浮かべ、振り返る。
「カカシ、ぜったい来んなよ……来たら今度こそ殺すからな。 2人にさせろ」
「……ヤナギ……!? く……」
カカシは驚いたように
目を見開く。
「黙れカカシ。 俺は……お前を、最後の最後まで、憎み切れなかったらしい……。 俺は終わりだ。だから最後に、2人で話をさせてくれ。 もう連れて行かねえ、安心しろ」
そう言ったあと、ヤナギは森の奥へ、私の腕を引っ張り歩いて行った。