第12章 闇 終焉の地
「……ヤナギ?」
「お前もさっさと上がれよ」
カカシをずるずると地面を引きずり、ヤナギは引っ張って歩く。
「待って!!」
そう叫ぶのにカカシを引っ張っていく。
「ヤナギ!!
まだ、カカシは死んでないの!!いま蘇生活動したら間に合う!やめてよ!!もういいじゃない!!」
私も陸に急いで上がり、
後を追った。
水浸しなジャージで身体が重い。
ポタポタ全身から
水滴が溢れ落ちる。
私の歩く道に地面に
水たまりが出来ていく。
「……黙って見てなよ」
ヤナギは、カカシの肋骨の下あたりに手のヒラを置いて、リズムよく力を入れる。
は……?
「……なに……してるの?」
ヤナギの首は
鮮血が流れ落ちる。
「ん? 救命行為だけど?習っただろ?覚えてないの?花奏ちゃん」
手を止めずに続ける。私はワケが分からない。先ほどまでカカシを殺そうとしていたのに、今は助けようとしているのだから。
「殺したいんじゃないの? カカシを。なにがしたいの?」
ヤナギは私の問いに、
困ったように笑う。
「殺したいぐらい憎いよ。 でも、いざカカシが本当に死ぬかもと思ったら、身体が動いちまう。 俺は、最後まで、カカシを憎みきれない甘い野郎みたいだよ」
「ヤナギ……」
「13年間共に過ごしたせいか……やっぱり重いらしいよ、俺には殺せねえらしい」
そう呟き、ヤナギはカカシの心臓マッサージを続ける。
「おい! カカシ……! おい、死んだフリするのが上手いな、さっさと生き返れよ、しんどいんだよ!!」
ヤナギは、大声で叫んでいた。