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短編集  Dear my precious…

第26章 Only You*カルナイ[うたプリ]


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カミュside

「な!?お前、作曲家だったのか?!」

事務所でいつもは上げない驚嘆の声を上げる。

「あれ?気づいてなかった?」

次の曲の作曲家と紹介されるまで、俺は奏をただのよく会う奴だと思っていた。
…よく趣味の合う奴、だと。

「ちょっと待て。」

俺は思考を巡らせる。
全く作曲していたイメージがなかった。
イメージといえば神出鬼没。特に甘味店に居合わせることが多い。

事務所で会ったことなど一度もなかった。知り合ったのだって特大パフェを食べていた時だ。

「もう。ちょっと驚きすぎじゃない、ミューちゃん?」

…いや、作曲家なら都合がよいかもしれん。
しかも早乙女が認めた作曲家だ。
俺は都合よく捉えることにした。

女王の寄り代に。
俺がここにいるのも女王のためだ。
多少の犠牲など仕方がない。

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と考えていたのも一年前。

あれから作戦は悉く失敗。
しかも女王と話しているところを目撃され、挙げ句の果てに「体を貸すことは出来ないけど、私が女王の退屈しのぎになるよ」などという始末。

逆に笑えるほどだった。

ということで奏は寄り代にはなっていない。
それどころか女王の話し相手として仲良くなっていた。

(女王が誰かと親しげに話しているのなど奏以外にはあり得んな。)

どういう意図でやったのかは知らない。
計算かもしれないし、素でやっているかもしれない。
恐らくは後者だろうが。

だがとにかく、奏には感謝している。
女王を精神的面でサポートの面で。
俺には『女王の剣』としてのサポートしか出来ない。


そして。

奏が寄り代にならなくて良かったと思う俺がいる。


いつの間にか俺の心が囚われていたようだ。
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