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短編集  Dear my precious…

第26章 Only You*カルナイ[うたプリ]


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藍side

カナに初めてあった日をボクは覚えていない。
いや正確に言うならばそこまで大切なことではないから、重要性が低いだけだけど。

ワケはわかっている。

その日よりもあの日の方がよっぽど印象が強いから。

カノジョと出会って数日後。

「藍ちゃんって、もしかして人間じゃない、とか?」

あの日から何度も何度もリピートされる声。
声の主はカナだった。

それからあっという間にボクがロボットだと知られてしまった。

「…なんでわかったの?」

信じられなくて尋ねると、「なんとなく、かな。他の人とは違う感じがしたような…しないような…」と返されるだけ。

「そんな感覚的なこと、わからないんだけど。」

なんだか悔しくなって言い返せば、

「わからないんじゃなくて、まだ知らないだけだと思うよ?藍ちゃんはなにも知らない生まれたての子供みたいなものだからね~」

ケラケラと笑うカナに、衝動的に眉をひそめる。

確かに感情においてはまだ未発達かもしれないが、知識に関しては普通の人に負けることなど有り得ない。

「顔に出てるよ~」

のんびりとした声がカラダに響く。

「なんで私がこんなこと言うのかもわからないんでしょ?」

「…悪い?」
 
少し怒りが含まれた声になる。
これじゃあ本当にふてくされた子供のようだ。

そんなボクの考えは、カナには気がつかれていないようだった。

「大丈夫、そのうちわかるよ。色んな物と関わって自分だけの何かが見つけられるようになったら、ね。」

それから宙に意味ありげの視線を向けるだけで、カナはなにも言わなかった。

その時は、悔しいような怒りのような、複雑な気持ちで一杯になった。

でもその後冷静になってみると、それはボクにとって初めての感情だと気がつく。



これが、ボクがカナに興味を持ったきっかけ。
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