第25章 初めてはいつも貴方で*赤葦京治[ハイキュー]
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あれからつき合うことになって、そこそこの時間がたった。
前回の復習から始まった授業に早々に飽きて、空を見上げる。
(赤葦くん、どうしてるかな…?)
なんて。
私には乙女脳が強いらしい。
そんなことをしょっちゅう考えてしまうんだ。
先生の声とチョークが黒板を駆ける音はいいBGMだ。
赤葦くんも今頃は授業中だろう。
彼のことだから真面目に受けているんだろうな…あ、でもバレーで疲れて案外寝てたり?
遠くにいる彼に思いを馳せる。
赤葦くんはバレーボール部の副主将。
私も私で生徒会副会長を務める身。
なんだかんだでお互い忙しく、なかなか会うことができない。そこまで遠距離というわけではないのに。
(会いたいな…)
一回思うと、気持ちに歯止めが聞かなくなる。
会いたい、赤葦くんに会いたい。
でも会っちゃったら止まらなくなりそう。
女子だってそういう欲ぐらいある
まだ手をつないだり、くらいまでしか進んでいない。
せめてキスくらいはしたい、なんて。
………がっつく女の子はどうなのだろう。
授業後、スマホのランプに気がつく。
なんとなく隠しながら見ると、私がずっと思っていた人だった。
『今日の放課後会えない?』
短い文。でも私の気持ちを満たすには充分。
笑っちゃいけないと思いつつ、やっぱり口は緩んでしまう。
誰にも見られていないことを確認して、さくさくと返信した。
『もちろん』
そして一文付け加えて。
『私も今、会いたいと思ってたんだ』
放課後。
再びスマホのランプに気がつく。
『ごめん、木兎さんの自主練につきあうことになった。』
先輩に振り回されるのは後輩の役目。
ついでに自分の直接関係がある先輩といえば、なにがあっても逆らえないのはよく知っている。
私だって、会長になにか言われたら指示通りに動くだろう。
だからしょうがないかという諦めが四割。
でも残りは寂しい、という気持ちだった。
ぐっと唇を噛んで、指を動かす。
『大丈夫だよ。自主練頑張って(^^)』
すぐに既読がつく。
ああ、今は繋がれてるなぁって感じられた。
すぐにメッセージが来る。
『今から梟谷に来られる?』