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短編集  Dear my precious…

第25章 初めてはいつも貴方で*赤葦京治[ハイキュー]


目が合う。

私たちの間で時が止まる。
長いようで短い、なんともいえない時間だった。

赤葦くんが動いて、私の硬直も解けた。

のもつかの間。
目の前で彼が止まる。

「南、久しぶり。」

「うん、久しぶり。」

思わず口元が緩む。

他愛のない挨拶。
でもこれでも私の心は震えた。

「変わってない、全然。」

「赤葦くんこそ。」

「そうかな。」と彼は軽く答えると私を見る。その視線に背筋にはピリピリと電流が流れるようだった。

「相変わらず、綺麗だ…」

「え、」

突然の言葉に驚きの声を漏らす。なんだか恥ずかしい。

「あ、赤葦くんもかっこいいよ…!」と照れ隠しに言うと、「え」と彼も反射的に声を出した。

沈黙が降りる。

「俺さ…ずっと南が好きだったんだよね。」

今度は驚きの言葉も出せなかったので、彼の方に視線を向ける。目はばっちり合った。

「今もだけど。」

「…!」

(………………)


え、夢?
本当に夢だったの?
それにしたって都合よすぎじゃない?

視線を絡ませたまま、思考を巡らせる。

そして言った言葉がこれだった。

「赤葦くん、私のこと叩いてくれない?」

「…俺、そういう趣味はないけど。」

「南が望むならいいよ?」と付け足しニヤリと笑う彼。あくまで冷静に答えられ、羞恥心が湧いてくる。これじゃ私はただのMじゃないか。

「ち、違うよ!ただ…信じられなくって。私も赤葦くんのことすきだから。……あの頃も。もちろん、今も。」

恥ずかしさで顔を上げられない私がそう言うと、少しだけ間が空いて、その後笑い声が聞こえた。

訳が分からなくって顔をあげると、視線が交わる。

「早く告白しておけば良かったな、なんて。」ククッと笑い声を立ててる彼を見て、わたしもついつい笑ってしまう。

彼の顔が、私の耳元に近づく。
赤葦くんの吐息を感じて、思わずぎゅっと目を閉じた。



「2人で抜けようか。」



その日私の初恋は実った。
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