第23章 夏祭り*黒尾鉄朗[ハイキュー]
手から伝わる熱が心地良い。
「今日は離さないけどいいよな。」
「うん…」
鼓動はどんどん速まっていく。
ポツリ。
「ん?」
雫が落ちてきたと思うと、それはすぐに大雨に変わった。
「ど、どうしよ?!」
私が焦っていると、
「ここからは俺の家の方が近いな…」
なにかつぶやいたかと思うと、いきなり抱き上げられた。
「え、えっ?」
「このまま俺んち行くぞ。」
「あ、うん…」
「で、ついでにその浴衣脱いでもらう。」
「はっ!?」
ニヤリと笑ったクロの言葉の裏を感じて、息をのむ。
「離さねえって言っただろ?」
笑顔を崩さないまま、そのまま走り出される。
…仕方がないから今は掴まっとく。
でも、
「今だけなんだからね。家では離してもらうからっ!」
私の無意味な言葉は雨によってかき消された。
夏祭りはまだまだ終わらない、の…?