第23章 夏祭り*黒尾鉄朗[ハイキュー]
「クロは食べないからわからないんだよ、綿飴の美味しさを!」
ふわふわした飴を口に含む。
「ふーん…じゃ一口もらう。」
「ん、どーぞ。…………っ!」
綿飴を差し出すのと同時に、私の唇が舐められた。
「ちょ…ちょっと、クロ!」
いきなりのことで動揺してしまう。
そんな動揺を隠すために綿飴を食べた。
「ついてた。……もっともらうか。」
ニヤッと笑ったクロを見て、嫌な予感が走ったが、時すでに遅しだった。
「んっ………!んんっ」
クロは、私の口内でまだ解けきれずにいる綿飴を、舌で器用にからめ取っていく。
くすぐったさと恥ずかしさに負け、私はクロを押して離した。
「こんな人前で、恥ずかしいじゃん…っ!」
「2人だったらいいのか?」
「そう意味じゃなくて…!」
「こんな祭りで、他の奴らのことを見ている奴なんていねぇよ。」
そんなことを言いながら、楽しそうに笑っている。
余裕そうな彼を見て、ちょっと嬉しく悔しい、複雑な気持ちになる。