第20章 余裕*御幸一也[ダイヤのA]
「……」
先輩は無言で私の上からどいた。
「…先輩?」
え、と。
「…っ!」
自分がやったことに一気に恥ずかしさと不安が押し寄せる。
こんなことするなんて先輩にひかれちゃったかな?
だから先輩は…
「ご、ごめんなさい…」
目からは涙が溢れてくる。
「こんな女、イヤですよね…」
「ちげぇよ!お前が…その……いきなりあんなとするから…」
さっきから顔を逸らしている先輩。
もしかして……
「照れてます?」
「うっ…!悪いかよ!」
耳まで赤くなった御幸先輩を見て吹き出した。
「いえ、嬉しいです!」
余裕がない先輩を見られるのは、
きっと私だけの特権。