第20章 余裕*御幸一也[ダイヤのA]
~後日談~
「昨日は教えられなくてごめんねっ!」
今日はまた勉強会。
「よう、お疲れ~!」
「一也先輩っ!」
「いつの間に下の名前?!」
「へへーん、いいだろ沢村。」
「南!オレも名前!」
「えっ…」
「沢村。」
先輩がちょっと真剣な声になってから、私を引き寄せた。
「ちょ…先輩?」
「こいつが名前を呼ぶのは俺だけだから。…な、奏!」
余裕がない先輩を見られるのが私の特権なら、名前を呼ぶのが先輩だけの特権……ってことですか?
そんなことを思ったけれど、それを口にはしなかった。