第20章 余裕*御幸一也[ダイヤのA]
部屋に入ると、カチャリとドアが閉められる。
「先輩?」
訳がわからなくて、もう一度首を傾げる。
「お前、自覚してんの?」
「え?」
「お前は女で、俺たちは男だってこと。」
そう言ったと思うと、私の身体は宙に浮き、すぐに柔らかな感覚が背中に伝わった。
私の上に御幸先輩が馬乗りになる。
「お前があいつらのことを何とも思ってなくても、無理矢理こんな状況になったらどうにも出来ないだろ?」
眼鏡の奥の真剣な目が私を捕らえ、頷くしか出来なかった。
「…だったら簡単に心を許すな。」
「でも……」
「でも、なんだよ?」
「でも、御幸先輩だけには身も心も許してます…!」
「…っ!お前、この状況わかってんのか?!」
それはわかってる。
だが私は未経験。
でも…
「先輩なら、優しくしてくれますよね…?」