第14章 名前*福井健介[黒バス]
そこからは無我夢中だった。
坂を下り、奏を抱き上げ、ペチペチと頬を叩く。
「おい!奏起きろ!」
「うぅ…福井?」
焦点が定まっていない目をこちらに向ける。
「どうしたんだよ!?」
「足、捻って動けなかったの…」
確かに奏の足は腫れていた。
「悪いな。俺がもっと早く見つけていれば…」
寒いし、辛かっただろう。そんな思いさせたくなかった。
「ふふっ。福井は優しいね…」
ニコッと笑う奏に鼓動が早くなる。
「…し、心配かけるなよ!」
「うん…大好き、健介。」
(…っ!//)
名前で呼ぶなんて反則だろ!
「…zzz」
「って、もう寝てやがる…」
起きたらまた呼んでもらおう。
っと、その前に、
「俺も好きだぜ、奏。」
起きたらお前に伝えよう。この思いを…