第12章 俺だけのもの*不知火匡[薄桜鬼]
ーーー数時間後
(まずいな…)
攘夷浪士に見つかり、囲まれてしまった。
しかも鬼の力がばれて、援軍まで呼ばれた。
多勢に無勢。まさに絶体絶命。
でも私には逃げるという考えはなかった。
(逃げて生きながらえるなら、死んだ方がまし…!)
私は剣を握る。
目の前の攘夷浪士たちを斬り捨てていく。
「くっ…この!」
ザンッ!
利き腕が斬られ、刀を落としてしまった。
傷はすぐ治る。
だが私にとどめを刺すには十分な時間だった。
1人の攘夷浪士が剣を振り上げる。
(ああ…ダメだ…!)
全てを諦めた私はギュッと目をつぶった。
パンッ!
乾いた音が辺りを包んだ。