千銃士【Noble Master Project】R18
第1章 邂逅
これは確か、「ヒノモト」に舶来の鉄鋼品が届いた時に混ざっていた「赤い石」に触れた時に出来たものだ。
他の仲間には黙っていたが、兄だけに打ち明けた。
兄が心配して大きな神社の神主様に相談してくれたのだけれど、特に害はないから経過を見るよう言われていたものだ。
恭遠の顔を見上げると、彼は本当に切実な顔をしていた。
「この通りだ、頼む…!君は…我々が探し求めていた人物かもしれないんだ……!!」
「っ……あ、頭を上げてください、恭遠さん」
(こんなに必死なのだから、きっと何か事情がある……んだよね…)
沙優はワンピースのボタンに指を掛けた。
「……恭遠さんがお探しの人物かどうかは分かりませんが……痣をお見せすることはできます」
胸元を緩め、右鎖骨の下にあるバラの痣を晒す。
その瞬間、恭遠は固まり…息をのんだ。
「っ………!」
「………恭遠…さ」
「すぐ……すぐ、来てくれないか!!」
「えっ……きゃ!!」
すると恭遠はすぐさま沙優の腕を掴み、部屋を飛び出した。
建物を出ると、目の前にはいくつかの古い廃屋のような建物が並んでいた。
広い庭には洗濯物が干してあったり、射撃場のような場所まである。
「こっちだ!」
北側にある古い建物へと向かう。恭遠の手が無意識のうちに手首に食い込むほどの力で引っ張ってくるが、何とか堪えて彼に従う。
きっと彼は「探し求めていた人物」かもしれない期待と不安を抱えながら、走っているのだ。
ますます、兄に似ているな…とその横顔を見上げてふと思う。
そんな彼に連れられて中へ入ると、そこには
沢山の木箱に収められた……古びた銃が、所狭しと並んでいたのだった。