千銃士【Noble Master Project】R18
第7章 鷹狩り
Ieyasu side---
彼女の手によって、彼女の元で再び貴銃士になれたことを、心底嬉しいと思った。
それは彼女がつらい経験をしているから、だけではないけれど
それでもなお輝きを失わない彼女の姿に…新しい感情が芽生えた。
その感情の名前は、俺にはわからなかった。
前のマスターに仕えていた時には感じなかったものだった。
なんだろうか。
マスターのことを、抱きしめて…守りたい。
思わず彼女の身体を抱きしめる。
そして、今の気持ちを……忠誠心に似た、しかし忠誠心とは少し違うその思いを言葉にしてみた。
そして心の中で、名を呼ぶ。
(……沙優…)
「……えっ?!」
心の中で呼んだだけなのに、彼女は驚いたように振り向いた。
「今、私の名を?」
微笑みながら、呼んでいないと誤魔化し、馬を走らせる。
マスターにはどうやら
触れたものの感情や記憶を読むことができる力があるらしい。
だとすれば
マスターには、今俺の中に生まれた新しい感情が…伝わっているのだろうか。
マスターは、この気持ちの正体が分かるのだろうか。
くすぐったいようなこの気持ちは、マスターの身体をぎゅっと抱き寄せると更に、満ち足りたものになっていくのだった。