千銃士【Noble Master Project】R18
第5章 キセル(R18)※on shades
約束の相手は、23時を過ぎてもやって来なかった。
沙優は自室でなんとも言えない時間を過ごしていた。
キセルとケインを召喚した翌日、ナポレオンの要望によりニコラとノエルを召喚し、その後訓練で怪我をしたシャルルとケンタッキーを治療…
そして翌日……つまり今日だが
更にキンベエを召喚した。
(…あの疲れ方だ……)
バラの痣が焦げ付くように熱い。そこから、骨が軋むような痛みが湧き上がる。
快楽を求めているようではしたないけれど、あの時……イエヤスから口付けられた瞬間に熱が和らぎ、最後にNoble Kissを……最奥に放たれた後、灼熱感と疲労は一気に無くなったのである。
本当は…本当のことを言えば
同じ「楽になる方法」ならば、イエヤスにして欲しい。
だけど
数日前に恭遠に話した通り、効率化を考えれば…少しでも貴銃士の強化に貢献せねばならないとも思う。
あの日、恭遠は
「目下の重要任務は…希少銃の奪還だ。そのために少しでも早く、キセルとケインを強化したい」
そう告げた。
Noble Master Projectを知らないキセルとケインには、恭遠から説明をすると言っていた。
キセルはあんな性格だから猛烈に拒絶していたらしいが、結局現実を受け入れたと言っていた。
(大丈夫なのかな……)
ふたを開けてみればケインではなくキセルが来る、という約束だったのだが、彼……というより誰かが来る気配すら一向にしない。
(キセルはやっぱり……やだったのかな…それなら仕方ない……明日、ケインさんに打診してもらうよう恭遠さんに…)
ベッドを軋ませ立ちあがろうとすると、急に胸の痣がズキンと痛み、その衝撃でよろめいた。
「あっ……」
バランスを崩してベッドに倒れそうになった瞬間
「あぶねェ!!」
どこからともなく声がして、身体がふわりと浮いた。
「えっ……?!」
沙優の身体は、一瞬のうちに抱きかかえられていた。……突然どこからか現れた「キセル」に。
「……キ、キセル…?」