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君と紡ぐ空の唄【キングダム】

第16章 恋の歌②(輪虎side)


そのまま馬を飛ばして着いた所は王都を見下ろせる小高い丘。辺り一面にシロツメクサが咲いている。

馬から降りると葵は辺りを見渡して感嘆の声を上げた。

「すごい綺麗…王都もあんなに遠い。」
「たまにこの近くで練兵するんだ。いい景色でしょ?」
「うん!」

葵は満面の笑みでシロツメクサの中に座るとそれを手に取り何やら作り始めている。

「それ何?」
「花冠だよ。小さい頃、よく作って遊んでたんだ。」
「へ~…」

それはずっと忘れていた遠い記憶…幼い妹が小さな手で一生懸命作ってくれた。笑顔で僕の頭に載せてくれて……

(君といると本当に不思議だ…色んな感情を思い出させてくれる……)

「あ…あの……」
葵の声にはっとしてニッコリ微笑んだ。

「付けて。」
「え?」
「出来たんでしょ?僕に付けて。」

自分の頭を指差しながら言うと少し戸惑いながらもそっと載せてくれた。

「似合う?」
「いや、普通女の子が付けると思うけど…でも似合ってる。」
「そうでしょ?」

ふふ…と笑い声が聞こえると二人で笑い合っていた。
その時、葵が何か見つけたようだ。

「あ、見て。四つ葉のクローバー。」

それをそっと手に取ると嬉しそうに僕に差し出したけど、何がそんなに嬉しいのか凄く不思議で顔で首を傾げていた。

「四つ葉の…クローバー?」
「あ…そうか…この頃にはそんな風に言わないか……」
「この葉っぱが何かあるの?」
「うん。未来だと幸運の象徴みたいな感じかな?」
「へ~…」

その葉を手に取ると空にかざして見上げた。
      
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