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君と紡ぐ空の唄【キングダム】

第16章 恋の歌②(輪虎side)


そこからは自分の出せる能力の全てを出しきって頼まれ事を捌いた。
そして、本来僕がしなくていい事は他の三人に振り直した。

殿はようやく僕が気付いたことが面白かったらしく豪快に笑っていて、どうやら最初から共謀していたようだ……

そして、昼からは練兵場に向かった。
そこでは私兵達が訓練中だ。

「輪虎様?どうされたのですか?」

副官が不思議そうに聞いていた。そりゃそうだ。僕が来るのは明日の予定だったのだから。

「あのさ、明日は休みにするから。」
「え?しかし、それでは明日の練兵はいかがなさるおつもりですか?」
「大丈夫。今からするから。」
「は?」

返事は待たずに馬を一気に走らせた。
突然現れた僕に兵達が叫び、何か乱戦の訓練みたいになったけどまぁやりたかったことは出来たから良しとしよう。

屋敷に帰ってからも溜まっていた書簡は全部片付けてようやく一日が終わった。




翌朝、いつもより早い時間に葵を起こしに行った。

「葵!起きて!出かけるよ!」

驚いて飛び起きていたけど、何が何だか分からない様子だ。

「えっ?はっ?出かける?今日は練兵って言ってなかった?」

「今日は一日葵と過ごす。その為に昨日、無理矢理練兵までしてきたんだから。ほら、だから早く着替えて用意して。」

僕に急かされワケが分からないまま葵は準備を始めていた。
そして、朝食を食べるとそのまま馬に飛び乗った。

「どこへ行くの?」
「今日はちょっと遠出。飛ばすからしっかり掴まっててね。」

そう言ってどんどん馬を走らせた。

「は、速すぎ!」
「あはは!聞こえない~」
「もう!また!」

それは初めて葵に会った日と同じ会話…

(もう一度こんな風に君と馬に乗れるなんて思ってなかったな…)

思わず笑顔になると葵が僕にぎゅっとしがみついてきた。
     
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