第15章 恋の歌①(夢主side)
それは私の秘密を話した時、廉頗将軍に拾われる前に妹さんを亡くしたと聞いた。
「あ…あの……」
何か言わなきゃと思って声を出すとニッコリ微笑まれた。
「付けて。」
「え?」
「出来たんでしょ?僕に付けて。」
自分の頭を指差しながら言われ少し戸惑いながらもそっと載せてあげた。
「似合う?」
「いや、普通は女の子が付けると思うけど…でも似合ってる。」
「そうでしょ?」
ふふ…と笑い声が聞こえると二人で笑い合っていた。
その時、ふと手に触れたクローバーが四つ葉なことに気付いた。
「あ、見て。四つ葉のクローバー。」
そっと手に取ると嬉しそうに輪虎に差し出したけど、凄く不思議そうな顔で首を傾げられた。
「四つ葉の……クローバー?」
「あ…そうか…この頃にはそんな風に言わないか……」
「この葉っぱが何かあるの?」
「うん。未来だと幸運の象徴みたいな感じかな?」
「へ~…」
花冠を頭に載せて、クローバーを空にかざしながら見ている輪虎は何だか可愛い…
「ふふ……そうしてるとホントに女の子みたい。」
「もぅ…僕のどこが女の子なの。この前、男だってよく分かったでしょ?」
ニッコリ微笑まれると意味が分かって真っ赤になって俯いた。
「またそういうことを……」
「はは、ごめん。やっぱりこれは君が付けて…」
今度は私の頭にそっと花冠を載せられた。
「可愛いよ。」
そのまま後ろに回って来るとぎゅっと抱き締められ私のすぐ横に顔があった。
「しばらくこうしてて…」
「うん…」
少し感傷的な声が聞こえると腰に回っていた手に手を重ねた。
やっぱり大きな温かい手……