第12章 名前②(輪虎side)
そんなワケの分からない合同訓練が終わって帰れたのはとっぷり日が暮れてから。
眠くて疲れ果てて馬上で半分寝ながらどうにか屋敷に帰っていた。
フラフラしながら甲冑だけ脱ぐと真っ直ぐに葵の部屋に向かった。
(ダメだ…眠過ぎて何も考えられない…でも葵の所に行きたい……)
突然、部屋に現れた僕に葵はかなり焦っている様子だ。
「え…あの…お帰りなさい…」
「うん…ただいま…」
俯いたまま何とか返事した。
「遅かった…ね……」
「介子坊さんにみっちりしごかれた…男の嫉妬って怖いね……」
(もう限界……)
フラフラと葵に近付くと抱きついてそのまま倒れ込んだ。
「きゃっ……」
小さな悲鳴が遠くから聞こえた気がしたけどそのまま深い眠りに入っていた。
「え……」
そこからは泥のように眠っていてなにも覚えていない。
でも葵の気配が…香りが…すぐ側にあって何だか良い夢を見ていた気がする。
翌朝、目が覚めると葵は僕の横でまだ眠っていた。
その顔は本当に可愛いくてこのまま自分のモノにしてしまいたいくらいだ。
「葵~朝だよ~襲っていい~?」
からかい混じりに頬をつつくとようやく起きてきた。
「ん……」
「おはよ。」
目が合った瞬間、葵がまた飛び起きて寝台から落ちそうで思わず腕を掴んだ。
「また落ちるよ。」
そのまま腰を抱き寄せるとニッコリ見つめた。
「あ、あの…寝れた?」
そんな僕と目を合わせないようにしているのか葵の目は完全に泳いでいる。
「うん。お陰様で。どうする?」
「はっ?えっ?どうする…?」
言葉の意味が分からない葵が焦っていてまた僕の嗜虐性が刺激される。
「ん~…この前の続き。」
言いながらまだ首に残ってる跡を指でなぞった。
「あっ……それは…ムリ…」
赤い顔でそう言わらると抑えが利かなくなって唇を塞いだ。