第11章 名前①(夢主side)
(どう贔屓目で見ても30代には見えないよね…)
思いながらそっと髪を撫でると「ん…」と微笑んで眠っている。
その寝顔を見ながら私もいつの間にか眠っていた。
そして夢を見た…
それは現代…私が元いた世界。
家族、友達…いつもの通学路…
すると遠くにいるはずのない人が見えた。
(えっ…?輪虎様?)
遠くに立っている輪虎様はどこか寂しそうに葵の花を持って空を見上げている。
思わず輪虎様!と叫んだけど私には気付かずそのまま踵を返して歩き出してしまった。
一生懸命走ってようやく追い付くと振り返ってフワッと抱き締めてくれた。
いつもの優しい笑顔で…
私も笑顔で輪虎様に抱きついていた……
「葵~朝だよ~襲っていい~?」
その声と頬をつつかれてようやく意識が浮上してきた。
「ん……」
「おはよ。」
身動ぎして目を開けるとまた目の前に輪虎様の顔が見えて飛び起きたけど腕を掴まれた。
「また落ちるよ。」
そのまま腰を抱き寄せられると目の前に笑顔が迫った。
「あ、あの…寝れた?」
何とか言葉を発したけど目は完全に泳いでた。
「うん。お蔭様で。どうする?」
抱き寄せられていることにドキドキして軽くパニックなのに質問の意味が分からなくてさらにパニックになっていた。
「はっ?えっ?どうする…?」
「ん~…この前の続き。」
そう言ってまだ首に残ってる跡を指でなぞられた。
その指の感覚にゾクゾクしたけど恥ずかしくて無理だった。
「あっ……それは…ムリ…」
赤い顔でそう言うと唇を塞がれていた。
すぐに柔らか舌が侵入してきて口内を責められ舌を絡め取られ息も上手く出来なくなる…
「ふぁ…輪虎様……」
唇が離れると間近に顔が迫った。