第9章 口付け①(夢主side)
ニッコリ笑って立ち上がったらやっぱり酔いが回っていたようでふらついてしまった。
「おっと…ふらついてるじゃない。」
そのまま抱き寄せられていた。
「ごめん…あの……」
離れようとしたけどぎゅっと抱き締められた。
「輪虎様…?」
「そんな無防備なところ、みんなに見せないで。」
え…と思った時にはキスされていた。
驚いて目を見開いていると唇が離れ笑顔の輪虎様が見えた。
「そんなに驚くこと?」
「いや…こういう不意討ちは……」
「ふふ…聞こえない…」
「だから、それは聞こえてるから…」
言いかけたところでその言葉を遮るようにもう一度キスされていた。
今度は深く…
ここに来る前に実は初めての彼氏が出来たばかりだった。
でも、まだ手を繋いで軽くキスしただけの仲でそれ以上のことは分からなくて恥ずかしくて戸惑うばかりで……
そんな私のことが分かってるかのように輪虎様は優しく唇を口内を責めてきた。
私も分からないけど一生懸命そのキスに応えようとしていた。
そっと唇が離れると潤んだ目で輪虎様を見つめた…
「そんな目で見つめられたら止まらなくなるよ?」
それは今まで見たことない顔だった。
いつも優しい笑顔なのに今は私を求める男の顔…