第8章 告白②(輪虎side)
葵の目からみるみる涙が溢れた。
それはとても綺麗な涙…気付くと抱き締めていた。
「っ!?」
その体は緊張からか強張っている。
(そうか…この子は何も知らない世界で3年も一人で生きて来たのか…どんなに不安で寂しくて辛かったんだろう…こうやって力入れてないと潰れちゃうよね…本当によく頑張った…よく僕と出会ってくれた……)
「一人でずっと力入れて生きてきたんだね。よく頑張ったね。よしよし…」
泣きじゃくる葵の頭をそっと撫でていた。落ち着くまでずっと…
「ありがとう…こんな話きっと信じてもらえないと思ってた……」
そう言って顔を上げた葵の笑顔は眩しかった。
あまりに眩しくて思わず照れ隠しにイジワルしてしまった。
「ふふっ。君、今ひどい顔だよ。」
そう言って涙で濡れた頬をムニッと両手で摘まんだ。
「りんふぉさま?いふぁい…」
頬を摘ままれて上手く言葉にならない…そんな姿でさえ愛おしい……
「ごめん、ごめん。話してくれてありがとう。さすが僕が離したくないと思うくらい惚れ込んだだけあるね。」
「えっ?」
一瞬で涙が止まると目を見開き驚かれていた。
「えっ?…て、何の興味もない子を屋敷に置いておくワケないでしょ?」
「将軍とか身分が上の人達のよくあるお戯れとか気の迷いかと思ってた……」
はぁ…と深いため息を吐いてしまった。
「あのねぇ……戯れで女の子を屋敷に連れ込む程僕ヒマじゃないよ。こう見えて結構忙しいんだから。てか、君の中の将軍像酷くない?」
ふふっ…と笑うとそれで、と前置きをしてきちんと葵の気持ちも確認することにした。
「僕は好きだけど、君の気持ちは?君こそただの戯れか気の迷い?」
すると僕の目を真っ直ぐに見てきて話してくれた。
「戯れや気の迷いでこんな話し出来ないよ…輪虎様の側にいたい…私も離れたくない。輪虎様の笑顔が見たい…大好き…だから……」
その言葉は今まで生きてきた中で一番嬉しくて…温かくて…大切にしたくて……