第8章 告白②(輪虎side)
赤い顔をして俯いた葵が本当に愛おしくてぎゅっと抱き締めた。
「うん…これからずっと側にいるね。離さないよ。僕も葵の笑顔が見たい。大好きだよ…」
抱き締めた温かさがどうしようもなく嬉しい……
その夜、僕と葵はたくさん話をした。
未来の世界のこと、葵の家族のこと、ここに来てからのこと…
未来の世界の話はとても興味深かった。
馬よりずっと速い乗り物があって空も飛べるらしい。世界はこの中華よりずっとずっと大きいけど戦がなくて平和だと…信じ難いけどそう話す葵の目は輝いていて本当なんだと思わされた。
葵の世界の服も手に取ったが不思議な素材だった。
綿でも絹でも麻でもない…
そんな話を聞いてると童心に返ったみたいにワクワクしていた。
そして僕のこともたくさん話した。
戦災孤児で殿に育ててもらったこと、その殿に恩を返す為に仕えていること、そして戦場に立ち続けていたこと…
葵は僕の話を真剣に聞いていてくれた。
時々、考え込んでいたり泣きそうになっていたり……
でも、ふと気付くと葵は眠っていた。
その寝顔はとても穏やか…だけど……
「これ…生殺しってヤツだよね?」
呆れるように呟くと葵をすっぽり腕に収めて僕も眠りについた。
それはとても温かくて穏やかな眠りだった…