第1章 出会い①(夢主side)
「はい…葵と申します…」
そう言ってまた俯いた。
綺麗な笑顔だったからもう少し見ていたい気もしたけど相手は剣を持った兵。
これ以上関わらない方がいいと心が警鐘を鳴らしていた。
「ねぇ、顔上げてくれない?僕は君と話ししたい。あとさっきの歌をもう一度聴きたいな。」
(は…話し?何話すの?私どうなるの?)
そんなことを思いながらゆっくり顔を上げるとやっぱり綺麗な笑顔で私を見ていた。
「あの………」
「そうだね…今は何してたの?」
えっ?そんなことでいいの?とちょっと拍子抜けした。
「ここの掃除です。そしたら夜来香の芽が出ていたのであの歌を思い出してつい口ずさんでいました…」
綺麗な笑顔を見ていると少し緊張が解けたのが分かった。
「へ~君の国にも夜来香があるんだね。ねぇ、歌ってよ。」
そう言ってその人は私の横、木の根元に腰掛けた。
(これ歌わないとダメなパターンのやつだよね?恥ずかしいけど…)
とにかくこの人が離れてくれるなら…と、覚悟を決めて立ち上がった。
立ち上がる瞬間、チラリとその人を見たけど優しい笑顔を向けていた。
その笑顔に少しドキッとしたけど悟られないように目は合わせなかった。
空を見るとやっぱり綺麗な抜けるような青空…
(ああ、綺麗だな……)
そう心で思い息を吸って歌い出した。