第6章 自覚②(輪虎side)
酒宴は続いていたが、ふと気付くと葵がいない。
酔って涼みに行ったのか?と思い僕も隙を見てそっと外に出た。
外は星空が見え綺麗な丸い月がか架かっている。
夜風は少し冷たいけどそれも心地いい…
(どこに行った?)
少し見渡すと東屋の長椅子で横になっている葵を見つけた。
(全く…あんな所で…僕以外に見られたらどうするつもりなんだろ……て、さっきからこれじゃまるで…)
そんな自分の気持ちにドキッとしたけど気付かないフリをして東屋に近付いた。
「寝てる…」
見ると葵はスヤスヤと眠っている。
月明かりに照らされたその寝顔は愛らしくて可愛いくて…それなのにどこか妖艶で……
自分が息を飲むのが分かった。
「こんな姿、誰にも見せられないね…」
呟くとそっと葵を抱きかかえ部屋に運んだ。
ここが殿の屋敷じゃなかったら理性が持たなかったかもな…そう思いながら酒宴の席に戻った。
翌朝、葵が休んでる部屋に行くといつも通りの調子で声をかけた。
「おはよう!起きた?」
ところが葵は青い顔で頭を抱えている。どうやら二日酔いらしい。
「おはよう……うー…頭痛い……」
「あははは!二日酔い?」
「響くから笑わないで……」
面白いけど本人はかなり辛そうだから水と二日酔いに効く漢方を届けてあげた。
漢方は相当苦かったらしく面白いくらい悶えてたけど、それのお蔭か昼過ぎには動けるようになっていた。