第5章 自覚①(夢主side)
そしてまだ明るい昼なのに酒宴が始まった。
廉頗将軍の他にも介子坊将軍、姜燕将軍、軍師の玄峰様と輪虎様以外の四天王と呼ばれる方々を紹介してくれた。
正直、みんな怖そうな人達だったけど実際は優しくて私にどんどんお酒を勧めて楽しい話もたくさんしてくれた。
現代にいた頃はまだ未成年だったからお酒を飲むのは今日が初めてだったけど、思ったより飲みやすくて気付いたらいい感じにフワフワしていた。
時々、四天王の方々が私の手や髪に触れ輪虎様が焦ったような表情をしていた気もするけど楽しくてあまり覚えていない。
外が暗くなってもまだまだ酒宴は続き廉頗将軍は輪虎様の肩を組んだまま飲み続け輪虎様も同じくらい飲み続けていた。
でも、私はさすがに飲み過ぎたかな?とそっと席を外して外に出た。
もう星空が見え綺麗な丸い月がかかっていた。
夜風は少し冷たかったけどアルコールで火照った体には丁度良い。
東屋を見つけるとそこの長椅子に腰かけてまた空を見た。
「凄い星の数…現代じゃこんな夜空見れないよね…」
そこは手を伸ばせば星に届くんじゃないかと思う程の満天の星空。
「綺麗だな……」
そのまま長椅子に横になるといつの間にか眠っていた。
しばらくすると温かい腕に抱きかかえられていたような気がするけどきっと夢……
翌朝、目が覚めるとちゃんと部屋に居て布団も被って寝ていた。でも、次の瞬間とんでもない頭の痛みに襲われた。
「痛った……何これ?」
頭がガンガンしていると部屋の扉が開いて輪虎様の爽やかな声がした。
「おはよう!起きた?」
でもその声さえ頭に響いて痛かった。
「おはよう……うー…頭痛い……」
「あははは!二日酔い?」
「響くから笑わないで……」
輪虎様はクスクス笑うと水を持って来てくれて二日酔いに効くという漢方までくれた。
…けど、この漢方は悶える程不味くて二日酔いが悪化した気分だった。
結局、私は昼過ぎまで動く事が出来なかった。