第5章 自覚①(夢主side)
「葵と申します。この度はありがとうございました。」
廉頗将軍がじっと私を見ているのが分かって汗が流れていた。
「ふむ…葵とやら顔を見せてはくれないか?」
声がかかりゆっくり顔を上げ真っ直ぐに廉頗将軍の目を見た。
とても力強い目だけどどこか優しさがあって惹き付けられる…その表現がぴったりの目…
そして、なぜか目が逸らせなかった。
「ほぅ。輪虎…」
ドキッとした。何を言われるのかと…それでも輪虎様は至って冷静だった。
「はい?何でしょう?」
「なるほど……うぬが気に入った訳が何となく分かったぞ。」
すると廉頗将軍がまた私の目を見て話し出した。
「葵、なかなか良い目をしているな。気に入った!どうだ?今からでも遅くない。ワシの元に来るか?」
(へっ?こういう場合はどうしたらいいの!?冗談?本気??)
焦って輪虎様を見ると輪虎様の方が焦っていた。
「なっ!と、殿!それは…!」
「ヌハハハ!!冗談だ!部下の女に手を出す程落ちぶれておらぬわ!
うぬのその焦りよう余程気に入っているようだな。うぬのその姿が見れただけで満足じゃ!
よし!宴じゃ!!輪虎、覚悟は良いな?」
「はは…だと思ってましたよ。」
廉頗将軍は豪快に笑い、輪虎様は苦笑いしていた。