第35章 一歩②(輪虎side)
「なっ…30代?どんな童顔なの?」
蒙恬の目が点になっていると羌瘣が目を見開いて聞いてきた。
「おい、お前が30過ぎてて葵はいくつなんだ?随分若そうに見えたが…」
答える前に蒙恬がさらに信に聞いていた。
「葵って誰?」
「ん?ああ、輪虎の嫁だ。」
また一瞬の沈黙の後、みんなの目が見開かれ蒙恬が続けた。
「はぁぁ?嫁?…女いたの?」
「ああ、一緒に秦に来てるぞ。言われてみればそうだな。いくつなんだ?確かに若そうだったけど。」
信が期待を込めて聞いてきたのが分かった。
「ん~……あ、知らない。聞いたことないもん。でも、信達と同じくらいじゃない?」
「はぁーーー!?」
みんなの声が揃って目玉どこ?状態でホント面白くて笑ってしまった。
「そんな若い嫁貰うってどんだけ童顔なんだよ!お前!てかどうやって騙した!」
信が叫ぶ中、蒙恬や羌瘣は興味津々。王賁や疎水は興味なさそうにしてたけど横目で見ていたのは気付いてた。
「…それ童顔関係ないだろ。てか、騙したなんて失礼だな。ちょっと王宮から拐っただけだよ。」
「やっぱ犯罪じゃねえかよ!」
「え~同意の元だから大丈夫。」
そんな風に信とワーワー言い合ってたら貂の声がした。
「おーい、信!また何騒いでるんだ?全く。」
「おお、貂。なんだ葵もいるじゃないか?なぁ葵の年、知ってるか?」
「えっ?ああ、さっき街で聞いたぞ。」
すると葵が申し訳なさそうに入ってきた。
「あの…私の年が何か…」
「いや、こいつ30過ぎてるけど葵は若そうだって話しになってな。はぁ~世の中どうなってるんだ?」
「えっ?何か問題…?」