第34章 一歩①(夢主side)
「いや、こいつ30過ぎてるけど葵は若そうだって話しになってな。はぁ~世の中どうなってるんだ?」
「えっ?何か問題…?」
やっぱり問題があるんだと思ってオロオロしていると輪虎に後ろから抱き締められた。
「いいの、いいの。気にしないで。ちょっとしたやっかみだから。」
「えっ?あの…?」
みんながいる前でこんなことされて顔が赤くなるのが分かった。
そんな様子を見てまた信が叫んだ。
「だから人前でイチャつくな!たく、戦場との差がありすぎるだろ。」
「ふふっ、それは誉め言葉と受け取っておくよ。」
そんなやり取りを見て初めてみる武将が話ししている。その人達も信や私と変わらない年に思えた。
「ははっ、ここは相変わらず賑やかだね。輪虎…最初からここにいたら良かったのになぁ…ね、王賁。」
「…興味ない。」
綺麗な顔の人は笑顔で、少し目つきのキツイ人は興味無さそうにしていたけど雰囲気は二人とも優しかった。
それからの輪虎は本当に毎日忙しそうにしていた。
飛信隊の練兵と王宮との往復…
回復訓練も兼ねて信と手合わせしたりもしていたようだ。
このまままた戦場に行くのでは?と不安になったけど、輪虎は「もう戦場には立たないよ」と笑ってた。
ずっと廉頗将軍と共に、廉頗将軍の為に戦場に立っていた輪虎にとって廉頗将軍のいない戦場にはきっと自分がそこにいる意味が見出だせないのだろう。
でも、秦に来ることになったのは私の一言があったから…廉頗将軍は輪虎をこんなところに連れて来てって怒るかな?
いや、あの方ならきっと笑ってくれますよね…?