第34章 一歩①(夢主side)
翌朝、信と貂が迎えに来てくれた。
信と輪虎は王宮へ、私と貂は街へ出かけた。
貂は咸陽の街を案内してくれた。賑やかなその雰囲気は魏の大梁と変わらない。
そして、とある甘味の店でお茶を飲むことになった。
「ここの饅頭美味いんだぞ。」
「本当だね。ちょうどいい甘さ。」
笑顔でそんな他愛ない話をしているとふと貂が真剣な顔になった。
「葵…」
「ん?」
「お前、いくつだ?」
「………はい?」
突然の真剣な表情から想定外の質問に意味が分からなかった。
「いや、信から輪虎が30代て聞いてそれだけでも驚いたのにお前オレと変わんないくらいに見えるから……」
驚いたけど真剣なその表情が可愛く思えてそっと耳打ちした。
「そうなのか?」
「うん。」
「アイツ大人しそうな顔してやるなぁ……」
「意外とグイグイ行く方だから。」
顔を合わせると同時に吹き出した。
(楽しい…こんな日が来るなんてね……)
そこからは輪虎との出会いから今までのことを色々聞かれて私も気付けば全部話していた。
長い時間店にいたが、ようやく出ると輪虎がいる王宮へ向かった。
大きな外階段を上っているとまた信と輪虎がワーワー言い合っている。
「全く……アイツら懲りねぇな。」
貂が苦笑いすると信に声をかけた
「おーい、信!また何騒いでるんだ?全く。」
「おお、貂。なんだ葵もいるじゃないか?なぁ葵の年、知ってるか?」
「えっ?ああ、さっき街で聞いたぞ。」
また年のことを聞かれてもしかして何か問題でもあるんじゃないかと不安になってしまった。
「あの…私の年が何か…」