第33章 抱擁②(輪虎side)【R18】
信に案内された家は王都内にあった。
確かに小さかったが必要最低限のものは揃っていた。
「良かったね。」
葵は相変わらず笑顔だ。
「ねぇ、葵。どうして羌瘣について行こうと思ったの?どうして信じて大丈夫だと思ったの?」
魏国を出る時からずっと思ってたことだ。すると葵はニコニコしながら話し出した。
「う~ん…だってあの方が悪い人だとは思えなかったから。実際話してみるととても良い方だったよ。それに時々見せる女性らしいところとか可愛かったし。ふふっ。」
「えっ?女!?」
どこよりもそこに驚いてしまった。
「えっ?うん…秦国には女の武将が多いのかな?気付いてなかったの?」
「あはは…うん…まぁ…戦場の印象しかなかったし…道理で……」
言われてみれば思い当たる節はあった…
「そうか…ふふふ…葵に負けちゃった。」
そう言って抱き締めた。
「輪虎?」
「やっと抱き締められた…長かったな…僕やっと葵の所に帰ってきたんだね…」
葵もぎゅっと抱き締め返してくれた。
「うん…」
そのまま見つめ合うと口付けを交わした。それはすぐに深いものに変わっていった。
「ふぁっ…ダメ…体に障るから…」
葵の目には涙が溜まり今にも溢れそうだ。頬は赤く染まっていて久しぶりに見たその顔はとても可愛くて止められそうにもない。
「ん~?葵のお蔭でもう大丈夫だよ。そんな顔で言われても説得力ないな~」
そう言って左手を頬に添えたが、やっぱり動きは鈍かった。
「う~ん…左手動かしにくいな~参ったな…」
「ほら…やっぱりダメだよ…」
葵が体を捩ったけど逃がさなかった。
「ふふっ、聞こえない。」
「もう、またそうやって…!」
その言葉を遮って口付けた。
頭に手を添えてきつく抱き締めながら何度も何度も…
葵も首に腕を回して来るとそのまま寝台にそっと押し倒した。