第33章 抱擁②(輪虎side)【R18】
「一本は俺が持ってた。これはお前の大事なヤツなんだろ?返す。」
「いいのかい?ありがとう。左手で握るのは難しいけどやっぱり二本ないと落ち着かないや。」
羌瘣から受け取ると腰に差した。
それは久しぶりに腰にずっしりくる感覚…
(殿は信に仕えると言ったら怒るだろうか?いや、きっと笑ってくれますよね…?)
剣に手を添えるとそんな事を考えていた。
「よし!じゃ、お前らの家に案内してやる。」
ちょっとしんみりしてたら信の声がした。
「家?そんなものまで用意してくれたのか?」
「まぁな。と、言っても納屋みたいな小さい所だけど。
なあ、輪虎……俺達は元々敵同士だったけどこれからは仲間だ。色々思うこともあるだろうけどあんまり思い詰めるなよ。今日からは俺が上官だ。何でも相談してくれていいぞ!」
「う~ん…気持ちは有難いけど相談する時は羌瘣や貂の方がいい気がするから遠慮しておくよ。」
そうニッコリ微笑むと貂がからかうように笑った。
「あはは!やっぱり元将軍だな。よく分かってる。」
「輪虎~…貂~…俺は隊長だぞ!千人将だぞ!」
「オレは軍師だ。万の兵を動かすことができるぞ。」
「僕は元将軍で万の兵を率いて戦って勝利してきたよ。」
この後、信が暴れたのは言うまでもない…