第30章 再会①(夢主side)
そんな私達の気持ちが分かっているかのように信は話を続けた。
「分かってる…だから飛信隊の練兵や文官みたいなことをして飛信隊を支えてくれたらいい。片手でもあんだけ強ぇし、それにあの廉頗の四天王だったんだろ?絶対頭もいいだろ?
確かに、お前が敵将だったことは変えられない事実だ。でも、俺の飛信隊はそれを飲んでもお前が欲しい。」
すると小柄な女の子がクスクス笑いながら言った。
「大概の将はお前より頭いいと思うぞ。」
「うるせー!お前は黙ってろ!どうする?輪虎。」
信は笑顔だったけど輪虎は俯き考え込んでいた。
(輪虎の中には廉頗将軍という絶対の存在がある。それを捨ててまで秦国に…飛信隊・信の元に行くのだろうか?それにこの人は自分を殺しかけた人……)
不安になりながら見つめていると顔を上げた輪虎は笑顔だった。
そして、意外な答えを出した。
「……いいだろう。でも言いたいことは遠慮なく言わせてもらうよ。」
そう言って右手を信に出していた。
「よしっ!これからよろしくな!」
信も右手を出し二人は握り締めている。
その姿はとても大きくて力強い…そしてどこか優しい……
すると信が突然顔を歪めた。
「いででで………おい!!輪虎!ホントに怪我人か!?山陽でも思ってたけどその細い体のどこにそんな力があるんだ!!」
「僕の体が見たいなんて子どものクセにいやらしいなぁ。僕の体は高いよ。」
信の顔は真っ青になっている。
「子どもじゃねぇし、んなこと思ってねぇ!てか、手ぇ離せ!!」
輪虎がクスクス笑って手を離した。
それは久しぶりに見た楽しそうな笑顔。魏国で楽しそうにしていた頃の…
でもその会話が少し恥ずかしくて羌瘣と女の子、私は顔を赤らめていた。