第30章 再会①(夢主side)
「じゃれてねぇでさっさと政のところに行ってこい!」
女の子が顔を逸らしながら言った。
「分かってる!ったく…あ、輪虎。改めてこいつは飛信隊・軍師の河了貂だ。」
(軍師?軍師って作戦を考えたりする参謀と教えてもらったことがあるけどこんなに若くて女の子でそれを務めているなんてかなり頭のいい人なんだ…スゴいな…)
驚きながらそんなことを思っていると輪虎と河了貂は握手していた。
「よろしくな、輪虎。オレのことは貂と呼んでくれたらいい。」
「よろしく、貂。」
その様子がまた嬉しくて微笑んでいた。
「うし!んじゃ政んとこ行ってくるわ。輪虎、こっちだ。」
信に続いて輪虎が歩き出し私もついて行こうとしたけど羌瘣に止められた。
「葵はこっち。ここで私達と待ってて。」
少し不安になって輪虎を見ると信が声をかけてきた。
「大丈夫だ。何もしねぇよ。」
「ふふ…そういうワケだから待っててね。」
どうやらついては行けないみたいだから羌瘣に促されるままその場にあった椅子に座った。
階段を上っている輪虎と信はまた何やらじゃれているように見えた。
その二人の様子がまるで昔からの戦友のような感じがして笑顔で見つめてしまった。
(お互い戦場で殺し合っていたのに何だかよく分からないな…でも、死線を超えたからこその繋がりなのかな?)
そんなことを思いながら見上げた空は魏国より高く感じた……