第30章 再会①(夢主side)
戸惑いながらも輪虎が相手にもう一度向き合った。
「分かった…お前について行く。ただし、葵も一緒にだ。二人だが大丈夫か?」
「その娘は葵と言うのか。いいだろう。二人とも確実に守ってやる。急げ、夜が明ける。」
そう言われ身につける物だけを持って出た。
その中にはもちろんクローバーの玉(ぎょく)と片方しかなくなってしまったけど葵のイヤリングも…
「馬には乗れるか?」
相手のその言葉に輪虎の顔色が変わった。
(まだ回復していない状態では私を後ろに乗せるのは無理…でも、私が乗せるなら出来るんじゃ…?)
「輪虎、大丈夫だよ。私の後ろに乗ったらいいよ。」
安心させるようにニッコリ笑いかけると相手が驚いていた。
「お前、馬に乗れるのか?」
「はい。輪虎に教えて貰ったので。」
「お前面白いな。」
(やっぱり女が馬に乗れるのは珍しいことなんだ……)
私の後ろに輪虎が乗るとそっと腰に手が回ってきた。
「国境までは飛ばすぞ。しっかりついて来い。」
相手が馬を走らせるとその後ろをついて走り出した。
「しっかり掴まっててね。」
腰に回った手に力が込められその温かさが嬉しいような…でも、まさか私が輪虎を乗せる日が来るとは夢にも思わなかった…そう思うと苦笑いしていた。