第28章 帰還①(夢主side)
言葉は続いた。
「それは輪虎と葵を繋いでいたものじゃろ?
それを持って戦場に立っていたと言うことはワシの先にいるうぬの為にこやつは戦っていたのだろう。
ヌハハハ!お前のような小娘にワシが負けるとはな。
だから葵、お前の元に輪虎を返すぞ…
目覚めるか分からぬがどんな時でも側にいてやれ。」
それはあの惹き付けられる力強い目…
姜燕様と介子坊様の二人も優しい目で私と輪虎を見ていた。
ようやく事態が理解できると久しぶりに涙が出ていた。
「廉頗将軍…ありがとうございます…輪虎は必ず目覚めます。私の元に帰ってくると約束してたので……」
泣きながらも笑顔で答えるとふっと笑われた。
「ワシは恐らくもう魏国には居られぬ。しかしせめて輪虎が目覚めるまではうぬらはここに居れるようにしてやるから安心しておけ。」
そう言うと踵を返して行ってしまい、私は精一杯大きな声で「ありがとうございました!!」と叫んだ。
すると廉頗将軍が少し振り返った。
「輪虎のこと頼んだぞ。」
そう最後に笑顔を見せてくれた。